クライマーズ・ハイ

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横山秀夫「クライマーズ・ハイ」を読みました。
40歳になる群馬の地元紙記者、悠木が直面する様々な問題。
ギクシャクした家族との絆。
果たせなかった友人との山登りの約束と、その友人の行動の謎。
会社の一部としての立場と記者の使命感の狭間で揺れる気持ち。
社内の軋轢。
そして、日航機墜落事故という大惨事。
いろいろなテーマが含まれていますが、うるさすぎることなく、一つ一つが臨場感を持って迫ってきます。

事故の現場の直接的な描写はないのにもかかわらず、そのすさまじさが伝わってきます。
また、その事故を受けて興奮状態に陥った新聞社内の様子に迫力があり、引き込まれました。

そして最後に浮かんできたテーマ、「重い命、軽い命」。
小さな事故でも人の死であり、大きな事故でもお祭りではなくやはり人の死。
報道は、人の心がより動かされるものを報道する。
報道にとっての重い命と軽い命が存在するのは確かだと思う。
おかしいと思う。
では、どうすればいいのかはきっと、いい答えなんてないでしょうね。

筋とは関係ないのですが、印象に残ったシーンがあります。
『投稿欄の常連の一部に、たちの悪い輩が混じっている。
彼らは何かに憤ったり感じ入ったからペンを執るのではない。鵜の目鷹の目で書く材料を探し、すべての事象を「愛」と「正義」で括ってみせる。』
ネット上の掲示板を頻繁に見ていると、その掲示板の常連がいる。
彼らの中には「正論」で、一生懸命誰かを論破し、説得しようとしている。
なんだか似ていると思いました。

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