絶海

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恩田陸、歌野晶午、西澤保彦、近藤史恵、この4人の作家による孤島を舞台とした推理短編「絶海」を読みました。
恩田陸さんが入っているということで購入したのですが、しまった!この「puzzle」はすでに読んでいた・・・。

無人島という「密室」はミステリの一つの定番。
そのありきたりな設定で、四人がそれぞれまったく異なる作品を作り出していて、一つの本にまとめているのが、ばらばらなようでまとまりがあって面白かったです。

それぞれの感想ですが

恩田陸「puzzle」
プロローグが面白く、相変わらず恩田ワールドに引き込むのが上手だな~と思いました。
このばらばらの記事の内容は、なんだか記憶に残ってしまうような印象深いものです。
そして、関根春と黒田志土の二人の検事の性格が短いながらもきちんと書き込まれているし、恩田さんの作品をいくつか読んでいる人は知っている関根ファミリーの春ということで、親近感も沸きます。
ただ、最後がなんだかものすごく強引にまとめたような感じがあり(恩田さんの作品、時々ありますね)、最後がう~ん、あ、そう。という感じでした。

歌野晶午「生存者、1名」
過激な宗教団体に所属する信者たち5人がテロを起こした。
その5人は無人島に送られ、 放置される。
生存者、1名。
それは誰なのか。
四つの作品の中で、一番ミステリっぽいような気がします。
犯人は誰か、生き残るのは誰か。
緊迫感があり、次が気になる面白い作品でした。
ただ、個人的にはこのオチは、まぁ、これしかないけど、ちょっとわざとらしすぎるな~という印象があります。

西澤保彦「なつこ、孤島に囚われ。」
うーん、これは面白いのかどうなのか。
好きな人はスキかもしれない。
「生存者、1名」の緊張感に疲れた頭にちょうどいいかもしれない。
ただ、この作品単体では、あんまり好きではなかったです。
一番面白いと思ったのは、このレズビアンで頭の中がエッチなシーンでいっぱいのなつこが、実在の作家さんを実名でモデルにしているというところ。
なんだかめちゃめちゃな話だけど、実在しているなら仕方がないかという気にさせられました。

近藤史恵「この島でいちばん高いところ」
海水浴に無人島を訪れた女子高生5人が、連絡線に乗り遅れ帰れなくなり、無人島で一夜を過ごすことになった。
しかし、この島には誰かがいて、次々と殺されていく・・・。
後味の悪い作品でした。
怖さも、正体が分からないときのほうが、分かってしまってからより怖いですね。
なんだか、犯人像がもっと違ったほうが好みですね・・・。
汚いだけのつまらない男・・・こんな人に5人もの女子高生が人生を絶たれ、大きく左右され・・・なんだか気持ち悪くなりました。
女子高生一人一人の性格や背景、お互いに対する想いが短い作品の中に細かく描かれていて、文章の上手な人なんだろうなと思いましたが、ちょっと気持ち悪い設定に引いてしまって、この人の他の作品を読みたい気にはならなかったです。

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